Group-IB「裁判は密室で行われた」モスクワで拘束された創設者に懲役14年判決

サイバーセキュリティ企業のGroup-IBによると、2021年9月に反逆罪によりモスクワで拘束された同社創設者のイリヤ・サチコフ氏に対しモスクワの裁判所はこのほど懲役14年の有罪判決を言い渡した。Group-IBは声明を出し、イリヤ・サチコフ氏は無罪を主張したが裁判は密室で行われたとしている。

Group-IBの創設者イリヤ・サチコフ氏=この画像の著作権は Group-IB(https://www.group-ib.com/leadership.html)

サイバーセキュリティ企業のGroup-IBは、イリヤ・サチコフ氏がバウマン記念モスクワ国立工科大学生だった2003年に、現在CEOを務めるドミトリ・ヴォルコフ氏と共同で創設した企業で、サチコフ氏は同社共同創設者兼CEOとしてロシア連邦下院、欧州評議会、欧州安全保障協力機構(OSCE)等のサイバー犯罪専門家委員会の委員を務め、2010年にはロシア人として初めてデジタル犯罪コンソーシアム賞を受賞するなど輝かしい経歴を有している。

しかし、2021年9月にモスクワで反逆罪によりロシア連邦保安局(FSB)に逮捕され、以降、勾留された状態が続いている。サチコフ氏が逮捕された理由については以前の記事「モスクワで逮捕されたロシアのサイバーセキュリティ企業創設者のその後」に書いているのでそちらを見ていただきたいが、米メディアの報道によれば、ロシアのサイバー工作に関しサチコフ氏が情報を西側に提供した嫌疑がかけられている可能性があるという。また、FSBとGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)との権力闘争が背景にあるとの見方もあるようだ。

Group-IBはサチコフ氏の拘束に対して「無実に自身をもっている」と表明したが、今年4月20日にはロシア市場からの撤退を表明、ロシアと決別して世界的なデジタル犯罪防止ネットワークの拡大に事業を専念していく方針を明らかにした。一方でサチコフ氏についてはGroup-IBファミリーであり不可欠な存在だとして推移を見守ってきた。

7月26日に発表されたGroup-IBの声明によると、サチコフ氏に対する公聴会は秘密裡に行われ、急遽行われた裁判で反逆罪により懲役14年の有罪判決を受けたと言う。Group-IBの声明は不当な判決に落胆しているとする一方、「イリヤのアイデアとアプローチには世界中に多くの支持者がおり、それは世界中の人々と組織を団結させるものであると確信している。彼は不法に投獄されたままだが、当社は引き続き不正に立ち向かい、サイバー犯罪と戦うという2003年の設立以来、当社の中心となってきた使命を念頭に置いて脅威アクターの阻止に向けて取り組んでいく」と表明している。

■出典

https://www.group-ib.com/media-center/press-releases/statement-on-the-conviction-of-ilya-sachkov/?utm_source=twitter&utm_campaign=statement-Ilya-Sachkov&utm_medium=social

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