欧州理事会はロシアのウクライナ侵攻に対する第19次制裁措置を採択し、経済制限措置としてルーブルに紐づくA7A5ステーブルコインを制裁対象にした。
欧州理事会はロシアが制裁を回避するために暗号資産をますます利用しているとの認識を示すとともにステーブルコインA7A5が侵略戦争を支援する活動の資金調達のための主要なツールになっているとしてA7A5を制裁対象とし、キルギスのオールド・ベクター社や暗号資産取引所のGrinxとの取引をユーロ全域で禁止する金融措置を講じた。
ロシアを拠点とした暗号資産取引所のGarantexはランサムウェアなどによる犯罪収益のマネーロンダリングの温床とされてきたことから米財務当局はGarantexを制裁指定し今年3月にはアメリカ、ドイツ、フィンランド当局が連携してGarantexのドメインとサーバーを押収して違法資金を凍結しGarantexは閉鎖に追い込まれた。しかし、Garatexの閉鎖に対応するように新たな暗号資産取引所Grinexがキルギスタン共和国で登録され、Grinexに加えキルギスタンの新たな取引所Meerやロシアの取引所のBitpapaでもA7A5が取り扱われるようになりA7A5の取引が急増した。オールド・ベクターはGarantexで凍結されたA7A5をGrinexに移動する業務を担っていた。
ブロックチェーン調査会社のチェイナリシスなどによると、A7A5はTronおよびEthereumブロックチェーン上で取引されるロシアのルーブルに紐づいているトークンで、ロシア企業のA7 とロシア国営銀行のプロムスビャズバンク(PSB)によって今年1月にキルギスタン共和国で発行された。A7 は制裁下でルーブルの国境を越えた送金のために2024年に設立されたロシア企業で今年5月に英金融当局から制裁指定されている。チェイナリシスによると、今年7月末までのA7A5による取引量は11億7000万ドル以上にのぼっており、その取引量は今年3月中旬のGarantexの閉鎖とそれに続くGrinexの立ち上げ、4月初旬のキルギスタンの取引所Meerの立ち上げ、さらに6月中旬にロシアの取引所のBitpapaがA7A5の取り扱いを開始したことを受けて急増している。
■出典
