56人が立候補した前回の東京都知事選(2024年6月20日告示、7月7日投開票)ではポスター掲示板の設置費や開票所の設営費、新聞広告や政見放送にかかる経費、投票用紙や選挙公報の印紙代など選挙の執行にかかる都税からの支出が59億2400万円にのぼることが見込まれるという。そもそも東京都知事選にはこれまで一体、どれくらいの支出があったのだろうか。
東京都選管によると1991(平成3)年から2020(令和2)年までの間に行われた計10回の東京都知事選にかかる支出は右の図表の通り。昨年2024(令和6)年に行われた都知事選の経費は都選管によると現在、集計中とのことで不明だが、読売新聞の報道によると59億2400万円が見込まれるとのことであるので確定ではないものの59億2400万円の数値を入れている。都知事選にかかる費用は石原都政までは緩やかに増えつつも40億円前後で推移していたが、舛添要一氏が当選した2014(平成26)年の選挙で46億1300万円と大幅にアップ、現職の小池氏が二期目の当選を果たした2020(令和2)年の選挙では50億円を突破し53億8400万円と2016(平成28)年の選挙の44億7200万円から10億円近く増えた。基本的に都知事選の支出は増加してきたが、小池都政以降、右肩上がりの傾斜が強まっている状況だ。
一方、立候補者数の推移を見ると1991(平成3)年以降、10人から20人の間で推移し、2016(平成28)年の選挙では21人、2020(令和2)年の選挙では22人とやや増えたものの基本的には以前の傾向を踏襲していた。しかし、昨年2024(令和6)年の選挙では従来の候補者数の2~3倍の56人が立候補し立候補種数が過去最高を記録した。この56人の立候補者のうち19人は「NHKから国民を守る党」から立候補した人たちだ。立候補者の増加は否定されることではないが、選挙期間中、不正な選挙ポスターが登場したり、ポスター掲示板を悪用したと思われるビジネス行為が指摘されるなど、選挙を悪用した民主主義の破壊工作と捉えられかねない行為も報道されている。都選管は選挙にかかる経費の増加について様々な要因があるとして明確な理由を明らかにしていない。民主主義にのっとった正当な選挙を執行するために支出が増加しているのであれば問題はないが、選挙を悪用した民主主義の破壊工作に多額の税金が支出されているとすれば大きな問題だ。昨年の都知事選の実態についてより明らかにするとともに、支出も含めて選挙実態を明らかにする必要がある。
■出典
https://www.yomiuri.co.jp/election/tochijisen/20240703-OYT1T50074/