11月17日に投開票された兵庫県知事選挙で再選した斎藤元彦氏の広報戦略を担った業者の代表が選挙戦でSNSなどのデジタルツールをどのように活用したのかを記した文章を公開、ネット選挙の様相を呈した今回の兵庫県知事選挙の背後に事業者の存在があったことが明らかになった。またネット上では公選法に触れるとの指摘も出ている。
この業者は兵庫県西宮市に本店を置き、ブランド戦略や企業広報等のコンサルティング、インターネット等の媒体を使った広告代理業、ウェブサイトの企画、構築、管理、運営等を業として行っている。この業者の代表名でネットに公開された「兵庫県知事選における戦略的広報」と題した文章によると、斎藤氏が同社のオフィスを訪問したことで同社は兵庫県知事選にかかわることになったようだ。斎藤氏の選挙戦における広報戦略を策定し、SNSを運用して「斎藤知事を応援したい」「兵庫県をよくしたい」という想いをプラットフォーム化し、ムーブメントを起こすことを方針にしていたという。
「【公式】さいとう元彦応援アカウント」を立ち上げて斎藤氏自身のSNSアカウントとは別に応援したい人が集えるハブとして運用、公式アカウントが統一したハッシュタグを発信することでネット上の応援の流れに方向性をもたせたなどSNSをどのように運用し活用したのかを赤裸々に記しており、兵庫県知事選挙における有権者の意識醸成にネットを使って深く関与したことを明らかにしている。
公職選挙法221条は選挙運動者に対して金銭や物品等を供与したり供与の申し込みや約束をした場合、3年以下の懲役か禁錮、又は50万円以下の罰金と定めている。候補者陣営の指示や命令にもとづいて業者がホームページを作成したり候補者の写真撮影をするなどの行為は労務とみなされるが、候補者のためにホームページを企画立案したり文案をアドバイスするなどの行為は選挙運動とみなされるようだ。斎藤氏の選挙戦の戦略を立案しSNSを活用してネットで斎藤氏支持のムーブメントを醸成したこの業者の取り組みは明らかに選挙運動に該当するが、これを担ったのが広報コンサルティングやインターネット媒体を使った広報を業としている事業者であることから、ネットを中心に公選法221条に触れるのではないかとの指摘がなされている。報道によると、斎藤氏の代理人弁護士はこの業者への選挙にかかる支払いを認めた一方、支払いはポスター制作など法で認められているものに限られていると主張しているという。
兵庫県知事選挙をめぐっては、斎藤氏と争って落選した稲村和美氏の陣営が選挙期間中に陣営の簡易投稿サイトX(旧ツイッター)が2回凍結され、組織的な通報が行われた可能性があるとして兵庫県警に刑事告訴する方針と地元の新聞が伝えている。また選挙期間中に複数のXアカウントで同じ文章が投稿されたとの指摘もある。公選法は当選や落選を目的に氏名等を偽ってインターネットで通信をした者や候補者に関して虚偽の発信をした者などについても処罰の対象としており兵庫県警が今後どのように対応するのか注目される。
■出典
https://note.com/kaede_merchu/n/n32f7194e67e0?sub_rt=share_b
https://www.sankei.com/article/20241122-FRUXHTJQEVJJVIFCA6UVO7EHZ4/