全日本吹奏楽連盟不正受給 東京地裁が不法行為と断定、元事務局長側は控訴

一般社団法人全日本吹奏楽連盟(東京都千代田区、石津谷治法理事長)の不正受給問題をめぐる民事訴訟の判決が2月21日にあり、東京地裁(須賀康太郎裁判長)は多額な受給を不法行為と断定、元事務局長らに約1億5000万円の賠償金支払いを命じた。これに対して元事務局長側は判決を不服として控訴した。

判決で東京地裁は、受給した給与や賞与は当時の理事長が承認したものだとする元事務局長の主張について、承認を裏づける客観的な証拠がないことに加え、理事長から実際の支給額を記載した給与表に決済印を得ることは容易であったにもかかわらず理事長決済印のある実支給額の給与表が存在しない、異常な実支給額を承認し、その秘匿を指示するメリットや理由が理事長にあったとは考えられないなどとして理事長の承認があったと認めることは困難とし、そのうえで元事務局長の行為について地位を利用して給与等を不正に受給した故意による不法行為だと断じた。

また、元事務局次長についても事務局長が不正を働いているかもしれないと認識していたのに黙認して自ら不正の利益を得た上、実支給の秘匿行為にも加担したとして不法行為をほう助したとし、元事務局長と元事務局次長による共同不法行為と認定、両者に連帯して約1億5000万円を全日本吹奏楽連盟に支払うことを命じた。元事務局長らは懲戒解雇とした全日本吹奏楽連盟の処分の無効を訴えていたが判決で請求はいずれも棄却された。

この裁判は、2010(平成22)年度から約10年間にわたり計約1億5000万円を不正に受給していたとして懲戒解雇した元事務局長と元事務局次長、さらに引責辞任した元監事の税理士の3人に対し損害賠償を求めて2020(令和2)年3月に全日本吹奏楽連盟が東京地裁に提訴したもの。原告と被告の主張は対立し、昨年、口頭弁論が行われ今年2月21日に判決が言い渡された。この間、元監事は賠償金の支払いに応じて連盟との和解に至ったことから、判決は元事務局長と元事務局次長に対して言い渡された。

地裁判決について全日本吹奏楽連盟の石津谷治法理事長は「東京地方裁判所民事部は、令和6年2月21日、当連盟の主張を認め、全面勝訴の判決を言い渡しました」とネットで報告、一方、元事務局長の代理人は「連盟の主張のみにもとづいた判決で到底認められない」などとして控訴したことを明らかにした。

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