エヌビディアの最新AIチップが日本のクラウドでテンセントに提供される―米誌報道

ダウ・ジョーンズが発行する金融情報誌バロンズのネット版は「中国・テンセント、クラウド経由で禁止されているエヌビディアのチップにアクセス」との見出しで、WeChatを運営する中国テクノロジー企業のテンセントが日本企業の提供するクラウドを通じてエヌビディアの最新AIチップにアクセスすると報じている。

トランプ大統領が米半導体メーカー、エヌビディアのAIチップ「H200」の対中輸出を承認したことが報じられたが、エヌビディアの最新のAIチップ「Blackwell」と次世代の「Rubin」については安全保障上の観点から対中輸出は規制されている。しかし、米誌バロンズの報道によると中国企業のテンセントはデータセンターを運営するデータセクション株式会社(東京都品川区、石原紀彦代表取締役CEO)が提供するクラウドを通じて「Blackwell」にアクセスするという。

データセクションは、最先端のAIデータセンターをグローバルに展開することを表明しており、それに伴いAIクラウド事業を推進していくことを明らかにしている。これまでに大阪・堺やオーストラリア・シドニー、タイ・バンコクでAIデータセンターを設立することを発表しており、またエヌビディアの最新のAIチップBlackwell B200を導入し、アジア太平洋地域の企業にAIコンピューティングサービスを提供して次世代のAIイノベーションを推進するためのインフラ基盤を構築するとしている。

バロンズによるとデータセクションの大阪・堺とオーストラリア・シドニーのAIデータセンターの顧客はWeChatを運営する中国のテクノロジー企業のテンセントで、同社はデータセクションのAIデータセンターによってエヌビディアの最新のAIチップBlackwell B200にアクセスすることが可能になるという。ただし、バロンズの取材に対してデータセクションはテンセントがデータセクションのAIデータセンターの顧客かどうかは明らかにしていない。

バロンズの記事は、エヌビディアが輸出した最新のAIチップに中国企業がリモートでアクセスしたとしてもエヌビディアの輸出がアメリカの規制に違反したことにはならないとしつつ、アメリカの政治家からは規制上の盲点との指摘が出ていることを紹介している。一方でアメリカが規制している中国の市場に対して同盟国である日本の企業を通して利益を得ることができるとするアメリカの業界の声も紹介している。

データセクションをめぐっては、米調査会社のウルフパック・リサーチが今年10月にテンセントがデータセクションの主要な顧客だなどするレポートを発表し簡易投稿サイトXでも同様の内容を投稿、これに対してデータセクションは「当社のAIデータセンター事業におけるGPUの調達が米国の輸出管理規制に違反する等当社が違法行為を行っているとの記事が公表されましたが、そのような事実は一切ありません」とのコメントを発表、代表取締役CEOの石原氏は投資家向けの動画の中でAIデータセンターの顧客に関し「他の主要なグローバルなクラウドサービスプロバイダーと同様の戦略をとっている。我々としてはグローバルで数多くのお客様と今、話しをさせていただいており、多くのお客様に対してサービスを提供していく」などと話している。

【出典】

https://www.barrons.com/articles/china-tencent-nvidia-blackwell-chips-cloud-9d5e5998

https://x.com/WolfpackReports/status/1975758386382672313

クリックして00.pdfにアクセス

https://tn-ir.com/datasection/20251014

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