障害が発生したケーブル式常時海底地震観測システムとは? 気象庁が世界で初めて開発

気象庁によると東南海ケーブル式常時海底地震観測システムに障害が発生し、観測データが緊急地震速報に活用できない状況だという。気象庁が原因を調べているが、7月18日現在障害は続いている模様だ。

東南海ケーブル式常時海底地震観測システムの地震計および津波計の位置=気象庁発表資料より

気象庁は7月14日の発表で東南海ケーブル式常時海底地震観測システムに7月13日午後1時ころから障害が発生していることを明らかにした。その際、津波の監視に影響はないとしていたが、その後、7月16日の発表で7月15日午後3時ころから当システムの海底津波計の津波観測データも津波の監視に利用できない状態になったことを明らかにした。この影響で緊急地震速報の発表が最大で12秒程度遅くなる可能性があるという。また該当地点の津波観測データは発表ができない状況だということだが、津波警報への影響はないとしている。

気象庁気象研究所によると、ケーブル式常時海底地震観測システムは海底ケーブルに複数の地震計と津波計を接続した大規模な観測システムで、世界初の試みとして気象庁が気象研究所のプロジェクトとして1974(昭和49)年度から開発に乗り出し、東京大学や海上保安庁、当時の日本電電公社等が参加して技術を結集して研究が行われ、1978(昭和53)年8月に東海沖へのケーブル敷設を完了、翌1979(昭和54)年4月からこのシステムで得られたデータが地震観測業務に組み入れられた。それまではブイ方式等で海底地震観測が行われていたが、海底地震観測システムの開発に成功したことから海底におけるより精緻なデータの収集が可能になった。気象研究所によると、海底ケーブルに接続された観測装置は耐圧容器に高性能のセンサーを収納したもので性能試験や衝撃試験、振動や電気的な試験を繰り返し行って実用化に成功したという。

気象庁はケーブル式常時海底地震観測システムを東海沖に続き1985(昭和60)年に房総沖に敷設した。また今回、障害が発生した東南海ケーブル式常時海底地震観測システムを2008(平成20)年に東海・東南海の地震活動等の監視・観測を強化するために静岡県の御前崎沖から志摩半島沖にかけて敷設した。今回発生した障害がどのようなものであるか現状不明だが、気象庁は復旧したら発表するとしている。

■出典

https://www.jma.go.jp/jma/press/2507/14a/20250714_TOUNANKAI.html

https://www.jma.go.jp/jma/press/2507/16a/20250716_TOUNANKAI.html

https://www.mri-jma.go.jp/Research/explanation/kaitei.html

 

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