元理事長聴取の録音記録求め高裁に文書送付嘱託申し立て ―全日本吹奏楽連盟不正受給訴訟で元事務局長側

一般社団法人全日本吹奏楽連盟(東京都千代田区、石津谷治法理事長)の不正受給問題をめぐる訴訟の控訴審で、被告の元事務局長側が東京高裁に元理事長聴取の録音記録の文書送付嘱託の申し立てをすることがわかった。原告の連盟は不正受給問題の発覚を受けて元理事長に聴取を行っており、その際、録音をした記録があるとされるが一審で録音記録は裁判所に提出されなかった。

この裁判は、元事務局長らに対する実支給額を当時の理事長が承諾していたかどうかをめぐり争われ、一審の東京地裁は理事長の承諾はなかったと断定して元事務局長らに約1億5000万円の賠償の支払いを命じた。しかし、当時の理事長はすでに亡くなっているため法廷で本人の証言は得られていない。連盟は元理事長が亡くなる前に聴取を行っており、その際に録音した記録があるとされる。

一審で連盟は元理事長が聴取で話した内容とされる陳述書を裁判所に提出しており証拠として採用されているが、被告側は書面ではなく録音記録そのものを証拠として提出するように求めていた。これに対して連盟は、録音記録は捜査機関に提出しているとして裁判所に提出しなかった。被告代理人によると、聴取を行った連盟理事の陳述書には元理事長が元事務局長の給与の引き上げを容認していたと受け取れる発言の記述があるという。

このため元理事長がどのような説明をしたのか実際に録音記録を確認したいとしており、控訴審では連盟が提出したとする捜査機関に対して録音記録を裁判所に提出するように東京高裁に求めた文書送付嘱託の申し立てを行うという。元事務局長の代理人は取材に対して「2017年の支給額は6月から引き下げられているが、(元事務局長が)交渉して10月から元に戻った経緯があるので(元理事長は元事務局長らの実支給額を)認識していたのではないか?」などと話すとともに、元理事長聴取の陳述書について「伝聞証拠であり陳述書における(元理事長の)供述は信用できない」などと話した。

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