中国のGeedgeNetworks社と中国科学院のMESA(Massive Effective Stream Analysis)ラボから流出したとされる中国のグレート・ファイアウォールに関する内部文書とみられるデータがネット上で公開されている。流出したとされるデータの総量は約600GBとされ、グレートファイアウォールレポートなるレポートがネットで公開されており、Githubの掲示板でもデータの分析と調査結果が公開されているほか、カナダのニュースサイトなどが記事にしている。
カナダの日刊紙、グローブ・アンド・メール紙のネット記事によると、同紙とインターセックラボ、アムネスティ・インターナショナル、ジャスティス・フォー・ミャンマー、Torプロジェクトの研究者、ペーパートレイル・メディアの記者らが数か月をかけて10万件を越える流出した内部文書を検証したという。文書はGeedgeNetworks社と中国科学院のMESAラボの内部文書とされている。GeedgeNetworks社は中国のオンライン検閲・監視システム「グレート・ファイアウォール」を開発した企業とされ、同社の共同創設者は中国でグレート・ファイアウォールの父と呼ばれている人物だという。
グローブ・アンド・メール紙のネット記事によると流出したテータはグレート・ファイアウォール技術が中国以外の国に輸出されて機能している実態や技術的な進化について重要な洞察を提供しているという。グローブ・アンド・メール紙のほかオランダの独立系ニュースサイト、Follow the Moneyが「中国はEU企業の支援を受けて独裁政権に検閲技術を輸出している」との記事を出しており、またアムネスティ・インターナショナルは「パキスタンにおける検閲と大規模監視」とのレポート、ジャスティス・フォー・ミャンマーが「監視のシルクロード」と題したレポート、さらにインターセックラボが「インターネットクーデター」というレポートをそれぞれ公開しており、いずれも流出したデータに基づいた記事やレポートとみられる。
データが流出した経緯は不明だが、グレートファイアウォールレポートによるとEnlace Hacktivistaが流出データへのアクセスを提供したとしている。また、公開されているデータをダウンロードして分析する場合は、適切なセキュリティ対策をすることを強く推奨している。ダウンロードしたファイルには潜在的に危険なコンテンツが含まれている可能性があり、安全でない環境でアクセスすると、監視やマルウェアの被害に遭う可能性があるとし、インターネットにアクセスできない隔離されたマシンでのみ分析することを検討するように求めている。
グローブ・アンド・メール紙はグレート・ファイアウォールに関する内部文書の流出に関し中国外務省やGeedgeNetworks社に取材を申し入れたようだがいずれも回答は得られなかったようだ。