伊豆半島の西側、伊豆市大平柿木の山の上にある寺院敷地から産業廃棄物が流れ出ていると地元の新聞が報じたのは令和2(2020)年9月のことだった。正式な名称を平和寺本山というこの寺院の名前を以前、聞いたことがあった。伊豆半島の東側、函南町で持ち上がったメガソーラー開発計画について地元の人たちから話を聞いた時のことだ。
僧侶がメガソーラー開発予定地を下見?
「お坊さんが土地の下見にきたという話しもある」―静岡県函南町でメガソーラー開発計画が持ち上がり地元住民からメガソーラーの建設が予定されている土地について話を聞いた時のことだった。令和2(2020)年の初めのころで、住民から強い反対の声があがっていた。僧侶がメガソーラー開発の下見にきたという住民の話は奇っ怪なので記憶に強く残った。その時に名前が出たのが平和寺本山だった。しかし、話の内容は漠然としていて噂の域を出なかった。その平和寺本山が突然、ニュースで報じられたので大いに関心がわいたのだ。
函南メガソーラー開発計画は、反対する住民が町や町議会を動かして、令和5(2023)年5月に中部電力子会社のトーエネック(名古屋市中区)が事業からの撤退を表明するに至り事実上白紙となった。このメガソーラー開発はトーエネックとブルーキャピタルマネジメント(東京都港区)、東京産業(東京都千代田区)の3社がスキームを組んで進めていたが、撤退を表明したトーエネックはブルーキャピタルマネジメントと東京産業を名古屋地裁に民事提訴し、3社のスキームは空中分解した。この訴訟は現在も名古屋地裁で争われている。
3社による開発行為が明らかになる前、メガソーラー開発計画自体がまだ知られていなかった2015(平成27)年頃、開発が予定されていた土地周辺の函南町軽井沢地区や田代地区には様々な肩書きをもった人たちが現れて、土地を売らないかと住民にもちかけていた。彼らが地元に落としていった名刺には、合同会社函南メガソーラーパークと会社名が記されているものがあった。その名刺には本社住所として東京都千代田区東神田、本店住所として東京都新宿区住吉町と記載されていた。函南メガソーラー開発計画の初期の段階では、合同会社函南メガソーラーパーク以外にも複数の法人が関わっている。その実態については「少なくとも6社が関与した経緯? 静岡県函南町軽井沢地区のメガソーラー開発計画」という記事で書いているのでそちらを見ていただきたい。
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