内閣府は、不正アクセス等による資料改ざんの可能性を指摘されとして、内閣府のウェブサイト上に公開したPDF形式の資料を削除した。同資料には中国企業の透かしが入っていたとみられ様々な憶測を呼んでいる。
問題となっているのは内閣府規制改革推進会議の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」が3月22日に開催した会議の資料。同タスクフォースは再生可能エネルギー導入の障壁となる規制等の点検と見直しを目的に2020年に設置された河野太郎大臣が主宰する有識者会議で、大学教授ら4名が構成員となっている。
同タスクフォースは3月22日に「エネルギー転換を支える太陽光発電の更なる導入促進について」を議題にオンラインで会議を開催し、その際の資料が翌3月23日に内閣府のウェブサイトに公開された。ところが、その後、公開した資料の一部について「不正アクセス等による資料改ざんがあったのではないかとの問い合わせがあった」=写真=として削除した。削除されたPDF資料には中国の電力会社「国家電網公司」の透かしが入っていたとされ、ネット上では問題視する声が相次いだ。
その後、内閣府は簡易投稿サイトX(旧ツイッター)で、国家電網公司の透かしの入っていた資料について、同タスクフォース構成員の1人である大林ミカ氏が提供した資料で、内閣府規制改革推進室の事務局が大林氏に確認したところ、「大林氏が事務局長を務める自然エネルギー財団の数年前のシンポジウムに国家電網公司の関係者が登壇した際の資料を一部使用したところ、テンプレートにロゴが残ってしまっていたとのことでした」との説明を投稿し、「不正アクセス等による資料改ざんがあったのではないかとの問い合わせがあった」としていたウェブサイトの説明を「資料提出者であるTF構成員から掲載資料を差し替えたいとの要望があったため現在準備中です」=写真=との文面に差し替えた。
自然エネルギー財団はソフトバンクグループ代表の孫正義氏が設立し代表を務めている団体で、中国国家電網の呼びかけにより設立されたGEIDCO(Global Energy Interconnection Development and Cooperation Organization)に参画して国際送電網の構築を目指していることからネット上では様々な憶測が飛び交っている。また、当初、削除の理由とした不正アクセスについて内閣府はその後なにもフォローしていない。仮に不正アクセスによる改ざんがあった場合、当該PDFを閲覧することでマルウェア感染にいたることも可能性としては考えられるわけだが、内閣府は不正アクセスの指摘を受けたと表明したまま、その有無については何も説明していない。
再生可能エネルギータスクフォースを主宰する河野太郎大臣は3月25日の参院予算委員会の答弁で「2016年から2019年にかけて自然エネルギー財団において開催をしたシンポジウムの中で登壇をした中国からの参加者のプレゼンテーション資料の一部を自然エネルギー財団が譲り受けた。その際に白いロゴだったもんですから、白地に背景がなっているとロゴがついていることに気が付かない。その資料の一部を自然エネルギー財団が引用した時にそのロゴがいっしょになんらかの形でくっついてきた。それを自然エネルギー財団が使っているうちに自然エネルギー財団が使っているパワーポイントのマスタースライドにそのロゴが写り込んでしまったがために自然エネルギー財団が提出をした様々な会議のプレゼンテーション資料にこのロゴがついていたということのようでございます」と説明するとともに「ロゴにウィルスや有害な要素があるということではない」などと述べた。
■出典
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/conference/energy/20240322/agenda.html