香港政府制定で注目される覆面禁止法と顔認証テクノロジー規制

逃亡犯条例改正案への反対運動を契機に当局への抗議行動が激化している香港。香港政府は抗議者のマスク着用を禁止する「覆面禁止法」を施行し、武力制圧も辞さない取り締まりで鎮静化を図っている。アメリカのサイバーセキュリティ企業は覆面禁止法について「私たち全員に関係があること」と指摘する。

香港政府が制定した覆面禁止法と類似の禁止法は、すでにアメリカをはじめカナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなどでも施行され運用されているようだ。香港のデモでは警察にレーザー光線を向ける抗議者の姿が多くみられるが、サイバー犯罪調査などを手がけるNational Cyber Security(NSC)は「香港の一部の抗議者はレーザーポインターを使用して顔認証技術を無効にしたり、身元を特定しにくくしている」と指摘している。顔が特定されればその場で逮捕されなくても当局に把握され、デモに参加したことが履歴として残るということだろうか。

NSCは「抗議者を特定するために政府が所有する技術はすべての人に関係するということを認識すべき」とし、アメリカのいくつかの州ではプライバシー法が制定されつつあると指摘している。米メディアによれば、サンフランシスコ市議会が今年5月、アメリカの自治体としては初めて公的機関での顔認証システムの導入を禁止する条例を制定したほか、マサチューセッツ州のサマービル市やカリフォルニア州のオークランド市でも同様の条例が制定されたという。NSCによると、これら条例は「顔認証やその他の生体監視のデータを警察が使用することはすべての人に個人の顔写真付き身分証明書を求めていることと同じで憲法上の権利に違反している」とし、警察官が集めたビデオ画像を使用して警察が顔認証を行うことを禁止しているという。公的機関が顔認証テクノロジーを使用することを規制する動きが今後、アメリカ国内でどこまで広がるのか注目される。

一方、香港や中国当局が顔認証テクノロジーをどの程度取り入れているか不明だが、サイバーウィルスが早い段階から他国や他国企業へのスパイ活動などに利用されていた現実を踏まえれば、監視テクノロジーとして顔認証技術がすでに現場に相当程度導入されていたとしても不思議なことではない。また、インド・ダラムサラにあるチベット亡命政府の政策研究所は、中国でもっとも人気のあるSNSのWeChatによって中国内外のチベット人が中国当局に監視されている可能性を指摘している。WeChatを運営しているのは中国オンラインサービス大手のテンセント(騰訊、中国・広東省深圳市)だ。テンセントはゲームソフト世界第3位の米企業、アクティビジョン・ブリザード(カリフォルニア州)の株式の4.9%を所有しているという。

同社の子会社、ブリザード・エンターテイメントが主催するオンラインカードゲーム「ハーフストーン」の公式e-Sports大会「グランドマスターズ・シーズン2」において、香港のプレーヤーが試合後のインタビュー中にスキーゴーグルとガスマスクを装着し「Liberate Hong Kong, revolution of our time(光復香港、時代革命)」と抗議活動を支持する発言をしたことから、大会主催者がこのプレーヤーを1年間の大会出場停止とし、さらに賞金3,000ドルを取り消す処分を行なった。

この処分に対してゲーマーらが反発、アクティビジョン・ブリザードとテンセントの関係が取りざたされ、「処分は中国に配慮したもの」との憶測が広がり、ブリザード社製のゲーム製品をボイコットする運動へと発展した。このためブリザード・エンターテイメントが処分について公式に説明し、香港プレーヤーへの処分を軽減するとともに処分は中国に配慮したものではないと表明する事態に至っている。逃亡犯条例改正案によって巻き起こった香港の抗議行動は体制な問題に加えて米中のテクノロジー争いにも微妙な影を落としつつ混迷をさらに深めている。

この処分に対してゲーマーらが反発、アクティビジョン・ブリザードとテンセントの関係が取りざたされ、「処分は中国に配慮したもの」との憶測が広がり、ブリザード社製のゲーム製品をボイコットする運動へと発展した。このためブリザード・エンターテイメントが処分について公式に説明し、香港プレーヤーへの処分を軽減するとともに処分は中国に配慮したものではないと表明する事態に至っている。逃亡犯条例改正案によって巻き起こった香港の抗議行動は政治体制の問題に加えて米中のテクノロジー争いにも微妙な影を落としつつ混迷をさらに深めている。

【参考】


  

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