「1956年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる」安倍・プーチン会談

2018年11月14日、安倍首相はAPEC首脳会議等への参加に先立ちシンガポールでロシアのプーチン大統領と会談し、会談後、記者団に「1956年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる」などと話した。また、11月16日にはオーストラリアで戦没者慰霊碑を訪問し、モリソン豪首相と会談。その後の記者会見で安倍首相はロシアとの平和条約交渉について「プーチン大統領と緊密に協議をし、私とプーチン大統領の間で双方に受け入れ可能な解決策に至りたい」などと語った。

プーチン大統領との会談後、記者団に「1956年共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させる」と安倍首相は話した。

安倍首相 先ほど、プーチン大統領と日露首脳会談を行いました。その中で、通訳以外、私と大統領だけで平和条約締結問題について相当突っ込んだ議論を行いました。2年前の長門(ながと)での日露首脳会談以降、新しいアプローチで問題を解決するとの方針の下、元島民の皆さんの航空機によるお墓参り、そして共同経済活動の実現に向けた現地調査の実施など、北方四島における日露のこれまでにない協力が実現しています。この信頼の積み重ねの上に、領土問題を解決して、平和条約を締結する。この戦後70年以上残されてきた課題を、次の世代に先送りすることなく、私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つという、その強い意思を大統領と完全に共有いたしました。そして、1956年共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させる。本日そのことで、プーチン大統領と合意いたしました。来年のG20において、プーチン大統領をお迎えいたしますが、その前に、年明けにも私がロシアを訪問して、日露首脳会談を行います。今回の合意の上に、私とプーチン大統領のリーダーシップの下、戦後残されてきた懸案、平和条約交渉を仕上げていく決意であります。ありがとうございました。

■参考\ニュース
日ロ、56年宣言を基礎に平和条約交渉加速 首脳会談
安倍首相、プーチン露大統領と会談 3年以内に平和条約締結へ
安倍首相、プーチン大統領と会談 平和条約交渉の加速で合意

安倍首相 オーストラリアの皆さんの心温まる歓迎に感謝いたします。さきほどモリソン首相と戦没者慰霊碑を訪れました。すべての戦没者に哀悼の誠を捧げ、平和への誓いを新たにいたしました。日本と豪州は70年あまりの時を経て今、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値で結ばれています。ともに力を合わせアジア太平洋地域の平和と繁栄をけん引する特別なパートナーとなっています。私たちは太平洋からインド洋へと広がる広大な海を、そして空を共有しています。国の大小にかかわりなく、その恩恵を享受しともに繁栄する。そのためには自由で開かれた海を空を守らなければなりません。今回、シンガポールにおいてアセアンのリーダーたちとこうした考え方で完全に一致することができました。このインド太平洋地域が法の支配が貫徹され、だれにでも開かれたものとしていく。日本はその実現のための努力をおしみません。海上保安面での協力、海洋プラスチックゴミの対策、防災協力などこの地域の平和と安定に貢献していきます。東アジアサミットでもこの自由で開かれたインド太平洋というビジョンに多くの国々から賛同を得ることができました。朝鮮半島の完全な非核化を目指し、拉致問題の早期解決を北朝鮮に求めていくことで一致したメッセージを出すことができました。各国から首脳たちが集まるこの機会を利用し多くの人たちと会談を行いました。

プーチン大統領との首脳会談では2年前の長門会談以降の両国の信頼関係の積み重ねの上に領土問題を解決して平和条約を締結する。戦後、70年以上残されてきた課題を次の世代に先送りすることなく私と大統領の手で必ずや終止符を打つという強い意志を共有することができました。1956年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる、そのことをプーチン大統領と合意しました。来年のG20においてプーチン大統領をお迎えしますが、その前に年明けにも私がロシアを訪問する。今回の合意の上に私とプーチン大統領のリーダーシップのもと、戦後残されてきた懸案である平和条約交渉を仕上げていく決意であります。

また、昨日はシンガポールのリー首相、インドネシアのジョコ大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領などアセアンのリーダーたちとも首脳会談を行い、この地域の未来について議論しました。日本は45年の長きにわたりアセアンと手を携え、ともに歩んできました。ウィンウィンこそが持続的な成長のカギであります。開放性、透明性、経済性、対象国の財政健全性といった国際スタンダードのもとに日本はこれからも基本的な価値を共有する国々と力を合わせてこの地域の発展のため質の高いインフラ整備を力強く支援していく考えです。アセアンの国々をはじめこの地域は今、目覚ましいスピードで成長を続けています。この地域がこれからも世界をひきつけ世界の成長センターとして持続的に発展していくためには投資、知的財産、電子商取引など幅広い分野で21世紀型の質の高いルールにもとづく自由で公正な経済圏を作り上げていくことが必要です。年内に発効するTPPはそのモデルとなるものです。アセアンに日本、インド、中国、韓国、豪州、ニュージーランドを加えた質の高い協定を目指して日本として交渉を力強くリードしてまいります。

足元では貿易をめぐる緊張一部の新興国における通貨下落など世界経済の下方圧力への懸念が高まっています。明日からのAPECではこうした状況のもとでAPECのリーダーたちと世界の自由貿易と経済成長を後押しする強い決意を発信したいと考えています。日本においてもこの夏の相次ぐ自然災害などによりGDP成長率が悪化するなど景気への悪影響も懸念されます。安倍内閣はこれからも経済最優先。こうした内外の経済情勢を十分に踏まえ、経済の回復基調がしっかりと持続するよう帰国後ただちに今年度二次補正予算の編成を指示する考えです。

年内に策定する防災減災国土強靭化の緊急対策を今年度から実施する。加えてTPPの年内発効を踏まえた農林水産業の強化策。そして中小、小規模事業者のみなさんへの支援策をしっかりとこうじてまいります。さらに今後、来年度予算の編成作業も大詰めを迎えますが、十分な消費税対策を盛り込む考えであります。景気をしっかり下支えできるよう切れ目のない対策をこうじ万全を期してまいります。

【記者質問】
NHKのハラと申します。日露首脳会談についてうかがいます。総理もおっしゃられましたが、日露首脳会談では日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速することで合意されましたけれど、平和条約を締結した後に歯舞、色丹を引き渡すというものと、4島の帰属の問題を解決した後、平和条約を締結するとした日本政府の方針は必ずしも一致していないように見えますが、この点について総理はどのように考えておられるでしょうか。合わせまして共同宣言を基礎とすることで2島先行返還で交渉が進むのではないかという見方が出ていますけれどもこの点について今後の総理の交渉方針を教えてください。そして最後にですね、プーチン大統領はきのうの記者会見で歯舞、色丹を返す場合も主権の問題については協議する必要があるという考えを示しました。日本に島がかえってくる場合でも主権がかえってこないという場合があるんでしょうか。この点について総理の受け止めを教えてください。

安倍総理 まずはじめに申し上げておきたいことはですね、領土問題を解決をして平和条約を締結するというのが我が国の一環した立場でありまして、この点に変更はないということであります。1956年共同宣言第9項は平和条約交渉が継続されること、および締結後に歯舞群島、色丹島が日本に引き渡されることを規定しています。従来から政府が説明してきている通り、日本側はここに言う平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるとの立場であります。従って今回の1956年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるとの合意は領土問題を解決して平和条約を締結するという従来の我が国の方針となんら矛盾するものではありません。ご指摘の、プーチン大統領と記者とのやりとりでございますが、一つ一つのやりとりについてコメントをすることは差し控えたいと思います。今後もプーチン大統領と緊密に協議をし、私とプーチン大統領の間で双方に受け入れ可能な解決策に至りたいと考えています。そして平和条約交渉の仕上げを行う決意であります。

■参考\ニュースほか
オーストラリア1日目(首相官邸ホームページ)
安倍首相が記者会見 「北方領土」日ロ会談の内容は?
「『共同宣言を基礎』従来と矛盾せぬ」安倍首相会見

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